がんばろう日本!

山下直久

静岡県浜松市

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官製バブル襲来!日銀超緩和の副作用 1 2013/4/21

2013年04月21日 20:19

官製バブル襲来!日銀超緩和の副作用

副作用に注意が必要だ

2をキーワードにした、「これまでと次元の違う金融緩和」(黒田東彦(はるひこ)総裁)が、4月4日の日本銀行金融政策決定会合で決まった。2年を念頭に、物価目標2%を達成するため、マネタリーベース(資金供給量)を2倍に増やす。

市場関係者が仰天したのが、マネタリーベースの倍増だ。マネタリーベースとは、日銀から民間に対する資金供給量のこと。市場で流通する現金と日銀当座預金の合計で算出する。その規模を2012年末の138兆円から、14年末270兆円へ倍増させる。拡大を牽引するのは日銀による長期国債の買い入れだ。12年末89兆円だった保有残高を、14年末には190兆円まで激増させる。

白川方明前総裁時代の資金供給量の増加は、10兆~20兆円規模。今回はケタが一つ違う。ある日銀職員は「乾坤一擲。デフレ脱却に向けた最後の戦い」と言う。トップ交代で日銀が豹変した。

巨額緩和の興奮と高揚

市場の予想をはるかに上回る円資金の供給は、国内外の投資家を震撼させるサプライズだった。為替は4年ぶりとなる1ドル=99円80銭台まで円安が進み、日経平均株価は4年9カ月ぶりとなる1万3500円台の高値をつけた。「今の流れに乗り遅れたら大変。投資家は焦りと興奮の中で相場という名のバスに飛び乗っている」(市場関係者)。高揚感は冷めそうにない。

民間エコノミストに対し日銀は、4日の金融政策決定会合後、緊急メールを送った。同日19時から開催する説明会の案内だ。50名近くが集まり、テーブルは満席、パイプいすまで用意された。日銀企画局の説明は15分程度で終わり、新たな金融緩和策に対する質疑が1時間ほど。会合の参加者によれば、「かつて緩和に慎重だった日銀関係者がやる気満々。現場サイドでの方向転換も明確に感じた」という。

「戦力の逐次投入をせず、必要な施策はすべて講じた」(黒田総裁)という今回の金融緩和では、ETF(指数連動型上場投資信託)とREIT(不動産投資信託)の購入も増やす。

「資産市場の典型である株式と不動産について、リスクプレミアムを引き下げる余地があるものについては思い切った拡大をした」(黒田総裁)。わかりにくい表現だが、要するに日本銀行がETFとREITの購入を拡大させることで、株と不動産の価格を引き上げたい、ということ。

黒田日銀の目指すものは?

黒田日銀の目指すのはズバリ、資産価格の引き上げだ。白川前総裁のような金利の引き下げによって銀行の貸し出し増加を狙う方法がなかなか成果を挙げないため、投資家の含み益や売却益を増やすことにより、それらを原資にした消費や投資の活性化=資産効果を狙う。

マネー供給のため、として長期の国債を買うのも、後述のように長期の金利を低い水準に潰すことで、民間の投資資金を国債からリスク資産にシフトさせるポートフォリオ・リバランス(投資配分の見直し)が目的だ。これはFRB(米連邦準備制度理事会)に倣ったやり方。資産価格や物価が上昇するという期待が高まれば、今のうちにおカネを使おうとする人が増え、消費や投資はもっと活発に行われるという効果も狙っている。野村証券の松沢中チーフ金利ストラテジストは、「日銀の措置は民間投資家に、『国債取引市場から出ていき、他の金融資産を買ってください』ということ」と話す。ここに、大きなリスクが潜む。