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山下直久

静岡県浜松市

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インド政府の対中外交に批判続出2013/5/26

2013年05月26日 15:50

インド政府の対中外交に批判続出

産経新聞2013年5月26日(日)15:19

 中国の李克強首相(57)が今月19~22日、インドを訪問した。首相就任後の初の外遊先にインドを選び、新興5カ国(BRICS)のメンバー国としての結束と友好を示したが、最近カシミール地方では中国人民解放軍による越境・駐留事件が起きたばかりで、インド・メディアや識者の中には、中国への警戒心をあらわにし、対中外交の見直しを迫る論調が目立った。インドは伝統的に非同盟外交を基本にしてきたが、かつて戦火を交えた隣国、中国への不信感は容易には払拭できそうにない。

 インドのシンクタンク、オブザーバー研究財団のC・ラジャ・モーハン研究員は20日付のインディアン・エクスプレス紙への寄稿で、「李首相の訪印は、インドの対中政策に非常に必要な現実主義を注入する良い機会だ。2期目の与党連合は、観念的な理想主義的傾向を許容し、中国をどう扱うかで常識的考えを押しつぶしてきた」と論じた。

 中国は日本やベトナム、フィリピンに対し、領土的野心を向きだしにしてきた。モーハン氏は、「インド政府は中国が現在、東で領土問題に手一杯になっていることは、インドにとってよいことだと納得しようとしている。こうした考えは、中国政府の力に対する考えを大きく読み違えていることに根ざしている。インドを含めたあらゆる地域で長期間、領土への主張を続けていることを是とする中国新政権の決意を恐ろしく過小評価するものだ」とインド政府を批判している。

 さらに、「与党連合は非同盟のレトリックを再び考案し、米国との関係を弱めることで、国境交渉で中国を説得できるだろうと思っている。これは、中国の米国への意識に対する大いなる誤解だ。中国は米国との力の均衡を変えるためにインドを味方に付ける必要があるとは思っていない」と述べた。

 そのうえで、インドが現実に即すには中国との不均衡を正す必要があるという。それは、(1)カシミール地方で越境を許した軍事力(2)インドは対中封じ込め戦略にくみしていないのに、中国はパキスタンに軍事協力を拡大していること(3)インドがチベットの中国への帰属を認めているのに、中国はカシミール地方でインドにより敵対的になっていること(4)インドの対中赤字が拡大していること-の4点だ。

 こうした不均衡を解消するには、「インド政府は現在の対中外交を捨て去るべきだ」と断じ、従来の全方位外交の見直しを迫った。

 インドのシンクタンク、防衛研究所の所長で元国家安全保障評議会員のアルビンド・グプタ氏は、カシミール地方での中国軍の越境、駐留により「不確実性の暗雲が両国間に今後、長い間垂れ込めるだろう」と推測している。

 インド側は、中国が首相の初訪印の直前という時期にこうした事態を引き起こした真意を測りかねているが、グプタ氏は、今回を侵入を「中国の圧力外交の一環だ」と指摘。「中国は明らかに状況の管理で運転席に座ろうとしていた」とし、「行動は計算されたもの」で、「まず問題を起こし、適当な時期に解決することで、インドを受け身に回らせることに成功した」と分析した。また、「中国には、国境問題で妥協するつもりはないとのメッセージを首相訪印前に送るという強い判断があったのだろう」としている。

 元インド駐パキスタン大使の外交評論家、G・パーササラティー氏は20日付のインディア・トゥデー誌への寄稿で、「中国はインドが今、経済の下降と軍の近代化の遅れに直面していることを知っている。カシミール地方での侵入は、中国の提案通りの実効支配線での戦力凍結をインドにのませるために使える手だと明白に考えていた」と分析し、「中国の自己主張により、インドは対中外交の全領域での見直しが求められている」と指摘した。そのためには、軍事力の強化と近代化、実効支配線での通信網の改良が必要で、こうした要件は「特に米国、日本、そしてベトナムなど東南アジア諸国連合(ASEAN)の協力国との創意に富む外交によって強化されなければならないだろう」としている。

(いわた・ともお ニューデリー支局)