スカイツリー22日1周年 来場5000万人超
■天空の舞台、つむぐ物語
開業から22日で丸1年を迎える東京スカイツリー(東京都墨田区)。足元のスカイツリータウンの来場者は5千万人を超え、地元商店街から「独り勝ち」と嘆き節が漏れるほどの盛況ぶりだ。「天望回廊」では家族らが絆を強める特別な場所になり、スカイツリーは「心のランドマーク」になりつつある。
地上450メートルにある東京スカイツリーの「天望回廊」。天空の別世界へ人々は誰と訪れ、何を思うのだろうか。
共有「世界に一つしかない景色を両親に見せてあげたかった」
こう話すのは今月17日夜、家族5人で訪れた香川県三木町の団体職員、久保万友美さん(46)。久保さんも弟2人もそれぞれの家庭を持ち、普段は両親と離れて暮らす。今回、きょうだいで子供の頃以来になる家族旅行を計画した。
父の新開(しんかい)敏弘さん(77)は東京の街を見下ろし、思わず「こんなに人がおるんやなあ」。13年前に脳梗塞で倒れて半身不随になり、車椅子生活を送る母の伸枝さん(71)はどこまでも広がる夜景を見て「長生きしとってよかった」とつぶやいた。
そんな両親の横顔に久保さんは同じ景色を共有できた喜びをかみしめた。「冥土の土産と冗談で話していたけど、これで少しでも恩返しできたかな」と話す。
歓喜親子3代で訪れた高知県南国市の主婦、弘田友さん(41)は東京滞在中の17、18の両日とも天望回廊へのぼった。どうしても晴れた日の景色を両親に見せたくて2日分の予約を取ったという。2日とも見事な晴れだった。
食品卸業の仕事一筋で旅行に出かけることはほとんどなかったという父の足達恭明(やすあき)さん(70)。「3回目も行こう!」と大はしゃぎする孫、理子ちゃん(5)に「また行こう」と目を細めた。弘田さんは「こんなにうれしそうな父は久しぶり。ツリーにこだわってよかった」と話した。
ツリーの誘導スタッフ、砂盃(いさはい)孝子さん(29)はこの1年、来訪者の特別な瞬間を目撃してきた。
感激今年2月、大きな花束を持った30代ぐらいの外国人男性が現れ、同じ年頃の日本人女性に手渡して「結婚してください」と英語で書いた紙を掲げた。女性は感激した様子で「イエス」と答え、友人たちだけでなく見物していた一般客からも大きな拍手が送られた。
約束昨年6月には遺影を持った50代ぐらいの男性が景色を見ながら「見てごらん」と話しかけていた。聞くと半年前に亡くした妻だという。男性は「完成したら一緒に行く約束をしていたがかなわなかった。今日は月命日なんです」と話した。
砂盃さんは「ここは特別な場所なんだということを、むしろ皆さんから教わった」と話した。(市岡豊大)
【用語解説】東京スカイツリー
地上デジタル放送やFMラジオを送信する、高さ634メートルの世界一高い自立式電波塔。増加する超高層ビルの影響を低減するため建設された。ツリーや都内最大級の商業施設「東京ソラマチ」、オフィス施設「イーストタワー」などが整備された街区は「東京スカイツリータウン」と呼ばれている。
