地価公示 熱帯びる不動産投信 オフィスから多様化
■緩和策期待、リスクマネー大量流入
21日発表された公示地価(今年1月1日時点)は、全国平均は宅地、商業地ともに3年連続で下落幅は縮小した。不動産投資で、最大の買い手に躍り出ているのが、投資家から集めた資金をオフィスなどに投資し、賃料などの収入を分配するREIT(不動産投資信託)だ。安倍政権の金融緩和策への期待からリスクマネーが大量に流入。オフィスが大半を占めていた投資先は、物流施設やホテルなどに広がり、地価の改善にひと役買っている。(井田通人)
東京ドーム3個分の広さを持ち、楽天などの有力企業が利用する千葉県市川市の物流施設「プロロジスパーク市川1」。平成27年度に東京外環自動車道が開通し、交通アクセスの向上が見込まれることもあり、付近(市川市塩浜3丁目17番12号)の地価は12・2%も上昇した。
施設を所有するのは物流施設専門のREIT、日本プロロジスリート投資法人だ。2月に東京証券取引所へ上場したのに伴い、不動産会社で設立母体の米プロロジスから339億円で買い取った。
プロロジスは、売却益を新たな施設の開発につぎ込む方針。担当者は「ネット通販の拡大で都市近郊にある物流施設の需要が増える」と投資拡大に意欲を示す。
REITでは、ほかにも大手リゾート会社の星野リゾートが宿泊施設を運用する投資法人の設立を検討。政府は高齢化の進展をにらみ、26年度にも介護施設や病院を含むヘルスケア施設専門のREITを認め、施設数増加につなげる。
一方、投資の中心だったオフィスビルでも本業のエレクトロニクス事業が不振を極め、資産売却を急ぐ電機メーカーの物件取得が目立つ。
三井不動産系の日本ビルファンド投資法人は2月末に東京・大崎にあるソニーのビルを1111億円で、今月12日には大手リース会社とともに東京・汐留にあるパナソニックのビルを約500億円で買い取った。
東京証券取引所に上場する全銘柄の値動きを示す東証REIT指数は、昨年9月には1000を下回っていたが、足元では1500を超える。みずほ証券の石沢卓志チーフ不動産アナリストはこうした資金流入に加えて、「昨年多かったオフィスの新規供給が一段落し、優良物件が減ったことも投資先の多様化を促している」と説明する。
